「封印された登記3」の続き。
猛暑が続いたある夏の日、私は地元の裁判所にいた。
裁判所には行きたくなかったのだが(擬制陳述)、裁判所から出頭するように言われていた。
空調はまったく効いていないようだった。
顔なじみの裁判所書記官、特別代理人の弁護士の順に臨場した。私は媚を売るような卑屈な笑顔で会釈をした。
裁判官が降臨したので、一同立ち上がって礼をした。
閣下は書記官殿としばし書類のやり取りをした後、仰せになられた。
「書面のとおりですか」
「終わります」
形式的に短時間で終わる裁判のことを何と呼んだだろうか、みこすり半劇場だったか。
「異議あり!裁判長、被告は本件について何ら審議を尽くしていない!」
「異議を却下します」
「次回は何月何日何時です」
「然るべく」
空調はまったく効いていないようだった。
次回の何月何日何時は行かなかった。
判決から2週間くらい後、判決の確定証明書を請求して、封印された根抵当権の登記を抹消した。
あの夏、簡裁代理権をつかった海。